◆“息の長い俳優”として
ホクロは、その人の身体と一緒に呼吸をして、年をとる。でも松坂のそれは、一向に年齢を感じさせない。若くもありながら、歳も重ねているというあべこべ。バカリズム脚本による快作ドラマ『ブラッシュアップライフ』での松坂が適役だった理由もここにある。
同作は、33歳で死んでしまった主人公・近藤麻美(安藤サクラ)が、何度も生まれ変わり、人生をブラッシュアップさせる物語だ。麻美の大学生時代の元彼・田邉勝として松坂が登場する。学食で食事をする何気ない場面で、勝が笑顔を見せると、ホクロが確認できる。それを見て、親しみやすい感じがしてほっこりする。松坂の実年齢より10歳以上も下の役柄なのに、ここでもやっぱり違和感を抱かせない。
このドラマもまた助演作品だ。ここまでインターバルを重ね、俳優人生をブラッシュアップしてきた。“息の長い俳優”として、松坂桃李の活躍は続く。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu