これは歴史好きには常識なのですが(あまり歴史に詳しくない方には多少のネタバレになってしまいますが)、後年の家康は、織田信長から圧力をかけられた末に瀬名姫を見捨てています。彼女は命まで奪われてしまうのですが、それこそこの場面を、まさに「どうする」という悲劇の選択として際立たせるために、瀬名姫をあくまで心優しい存在としてドラマでは描こうとしているのかな、とも思われました。
瀬名姫には、家康が手を出し、妊娠もさせた侍女(のちの側室・於万の方)を庭木に縛り付け、自らの手で折檻したという逸話も存在しています。あくまで逸話ですけれど、そういう「悪女」瀬名姫ならともかく、「心優しき姫」瀬名姫なら、彼女を見捨てる主人公・家康こそが悪役となってしまうはずで、このへんの見せ方は脚本の古沢良太さんのお手並み拝見といったところでしょうか。
正室と側室といえば、『どうする家康』では真正面から側室との恋愛が描かれるようですね。これも近年の大河では画期的といえることかもしれませんが、家康はその生涯で2人の正室と15人もの側室を持っているので、その華麗なる女性遍歴は隠そうとしても隠せるものでもありません。