2人のお子さんは、移住時は息子さんが8歳、下のお子さんが4歳と、まだまだ言語の学びの途中段階。2023年12月に渡航し、現在ペナン島のインターナショナルスクールに通っています。

 まずはねこ田さんが海外移住を決意した理由を聞いてみました。

「私は8歳の頃、親の都合でアメリカに3年間いた帰国子女です。たった3年ではありますが、日本へ帰国後は、義務教育過程で英語は苦労せず習得できましたし、今も問題なく喋ることができます。こうした成功体験から、『子どもにも海外生活の経験をさせてあげたい』と考えるようになりました。

とはいえ、それはふわっとした感じで、いつまでにと期限を区切っていたわけではありませんでした。でも上の子が私がアメリカに渡った年齢と同じになったことと、コロナ禍が明けて就業形態が変わったことで、仕事も家庭生活も、同時に考え直すようになりました」

◆コロナ禍明けで「もっと子どもと向き合いたい」と思うように

ペナン島にて
 よく、コロナ禍になり働き方や生き方を見直した、という声を耳にします。しかし明けてから改めて考え直すとは、いったい何があったのでしょう。聞いていくと、コロナ禍という変革期をへて、元の生活に戻れないと感じる現実があったようです。

「私達夫婦は、長年ゲーム業界で働くデザイナーでした。比較的忙しい働き方をしており、コロナ禍で在宅勤務ができるようになったことで、少しだけ余裕ができていました。しかし2023年の春にコロナ禍が収束にむかい、就業形態が在宅から基本、出社勤務に戻る形になりました。そのとき『(コロナ禍前の)あの働き方に戻りたくないな。もっと子どもと向き合いたい』と強く思ったんです。

ちょうどそのとき、上の子は私がアメリカに渡った年齢と同じ8歳になりました。きっと子どもが親の方を向いて、全力で親を求めてくる時間は、そう長くないだろうし、教育の面を考えても海外に行くなら今しかない。そうした思いやタイミングが重なり、もう一回、夢だった海外移住に目を向け、夫にも提案していきました」