今回のバージョンでは原曲よりも少しキーを下げていますよね。それはどうしてでしょうか。
MIKOLAS:よく気づいてくれたね、嬉しいよ!オリジナルバージョンを録ったのは4年前。世界的に見て音楽のサウンドも変わっているように感じるんだ。 オリジナル版は少しドライだったし、今改めて聴くとちょっと時代遅れな気がした。今回のはまさに2024年バージョン。僕の声もディープになったと感じるし、低いキーが似合うと思ったんだ。
キーを下げるだけでなく、スピードを少し上げたり、ドラムパートをよりパーカッション風にしたりと、よりヘヴィーでクラブミュージック的な、広がりのある雰囲気を目指したよ。
おふたりの声のすばらしい化学反応が起きていたように思います。コーラスやボイスエフェクトといったサウンド面ではどのような部分にこだわりましたか。
MIKOLAS:2024年の今、ラップとポップ・ミュージックの距離はすごく近づいた気がするんだ。それを曲調にも反映させた。普段の僕はオートチューンやボコーダーを使って世界観を強化する演出をすることもあるんだけど、今回はライブ感も大切にしたいとSKY-HIに伝えたんだ。
「Yeah!」「Woo!」みたいな僕らの声が入っているよね。笑い合いながらの収録だったよ。それで最後、録音が終わった時に僕は「Skrrt」(※)とふざけたんだ。その声が曲の最後に残っているよね。僕は消そうかと思ったけどSKY-HIがすごく気に入ったらしくて残したんだ(笑)
※「Skrrt」(スクー)は、ヒップホップでしばしば使われる擬音語。車のアクセル音が元になっており、勢いがついている状態を表すことが多い。
もうひとつこだわったのは、SKY-HIも僕も低いパート、高いパートを歌い分けて声を重ねたってこと。時に僕は日本語パートで彼に声を重ねたし、逆に彼も英語パートで僕に声を重ねている。 オリジナル版を一緒に歌うだけではなく、自分のパートを交互に歌うだけでもなく、 同じ部屋に一緒にいる“ジョイント感”を大切にした。それによって「ふたりのアーティストの共演」であることを強調したんだ。
特に大きく変わったのはブリッジ部分だと思います。SKY-HIのラップに合わせた大胆なアレンジが行われましたが、ブリッジについてはどのような印象でしょうか。
MIKOLAS:詳細に聴き比べてくれてありがとう、そこは制作者としてぜひ話しておきたかったところなんだ!ブリッジは唯一オリジナル版と完全に異なるパートになっているよね。
SKY-HIが2コーラスまでの参加箇所で、響きも意味も原曲に寄せた日本語ラップを作り上げてくれたことには「そんなことできるのか!」と驚いた。そこで僕はブリッジでの工夫を考えたんだ。僕はラップするよりもメロディーを歌うことが多いけど、SKY-HIは当然ラッパーだから歌うよりラップすることが多いよね。僕の曲に参加した彼が僕の曲に寄せてくれただけではなく、僕の曲が彼の世界に飛び込む感覚も得たいと思った。そこで、ブリッジに関してはSKY-HIらしさに近づけることにしたんだ。
だからこそ、ブリッジパートはこの曲で僕がすごく大切にした場所。質問してくれて嬉しいよ。