伊藤「正直、飛鳥さんと比べたら剛力さんは細すぎると思っていました。1話を観た時も印象はあまり変わらず、最初は『これじゃ力不足だぞ!』って思っていましたね。でも、その認識は間違いだったと思い知りました。今回のドラマは、ほぼ順撮りだったみたいなのですが、話数が進むごとにどんどん筋肉が盛り上がって体つきがレスラーになっていったんです。筋トレや練習の成果がそのまま画面に表れているのでしょう。飛鳥さんほどじゃないにしても、剛力さんも十分にレスラーの身体になっていました。剛力さんは筋肉のつき方がしっかりしていますし、ダンスをやっていたから運動神経もすごくいい。2話くらいから試合のシーンが増えていくのですが、プロレスの技術もどんどん上手くなって、きれいなフォームで打点の高いドロップキックを決めたり、飛鳥さんの得意技であるジャイアント・スイングで唐田さんをぶん回してしまったり、あれを見せられたらなんの文句も言えないですね。身体の大きさなどを超越して、完全に『女子プロレスラー』になっていました。『剛力、細いぞ!』なんて思っていた自分がバカらしく感じられて、本当にすみません……と思いましたね」
レスラーを演じた俳優陣の奮闘は今作の熱量をいっそう高めた。だからこそ、少女たちがリングに青春を捧げ、同じく青春真っただ中だった少女たちが熱狂した「あの時代」を完全再現することができた。
伊藤「剛力さんに限らず、レスラーを演じた12人の俳優さんたち全員が素晴らしい完成度で『女子プロレスラー』になっていました。受け身すら怖いという人もいたでしょうし、ロープワークだけでも最初は痛いはずで、それがコーナーポストから飛んだり、投げて投げられてというシーンまで、プロ同然のクオリティでやってしまうのですから、その陰には血のにじむような努力があったと思います。それを踏まえて作品を見ていたら、『私の青春をこんなに完璧に演じてくださってありがとうございました』と感謝の気持ちしかありませんでしたね」