◆ついに来た2021年…
2021年がタイムリミットと設定された、目醒めのセミナー。現在は2024年だが、受講者みな、無事(?)に、異世界転生のごとく、新しい自分を手に入れることができたのだろうか?
少なくとも真希さんは、できなかった。
「後出しジャンケンのように、“二度寝がある”と言い出したんです。一度目醒めても、また眠る可能性がある。実は目醒めは2038年が本番で、2021年からの4年間が勝負である。これから新しい地球のオーディションがはじまる、2025年に津波が来る。そんな感じの情報が、どんどん追加されていきました。2021年の扉が閉じたら再選択はできないといっていたのに……」
セミナーとは無関係の筆者でも、「なんじゃそりゃー!」と叫びたくなる。真希さんも、矛盾した話にすっかり気持ちが冷めた。
◆ビリーバーから、アンチへ
「何のことはない。投資詐欺と同じだったんです。投資詐欺の『この通貨の値が上がる』『いま通貨を持っておかないと絶対に損をする』という営業トークを、『目醒めのゲートが閉じる』『目醒めを選択しないと地獄にいく』と言い換えただけと、理解しました。そうなると類似のスピリチュアルコンテンツ発信者全員が詐欺師に見え、いまはもう嫌悪感しかありません」
ビリーバーが転じてアンチになるというパターンは、当連載でもたびたび紹介しているが、真希さんもまた同様の展開となったのだった。
◆これは自己責任か?
A氏の活動を応援する気持ちで講演会やセミナーに通うのであれば推し活と変わらないが、「これをやらないと大変なことになる!」と不安を煽られてのことである。
自己責任と言い切れない部分があるだろう。
「救われたい」と願う人の気持ちに付け込む沼は星の数ほどあるだろうが、これもそのひとつである。
<取材・文/山田ノジル>
【山田ノジル】
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru