―連載「沼の話を聞いてみた」―

いま買わないと損をするー多かれ少なかれそんな思いに駆られることは、誰しもあるだろう。ところが元会社員の小山田真希(仮名)さんは、そうした感情を極限まで煽られた。

詐欺&スピ沼202410
※写真はイメージです(以下同)
「いますぐにやらないと、光の世界に行くことができなくなる」そう煽ってくるスピリチュアル商法に3年の月日と数百万の資金を費やしたのだ。

スピリチュアルカウンセラーが語るファンタジーな世界観に、突然ハマったわけではない。判断力を著しく低下させる出来事が、まず先にある。

2017年ごろの仮想通貨ブームで、詐欺にあったのだ。典型的なポンジスキーム(※)だった。

(※高配当などを謳って投資させ、実際には運用せず後から集めた金を「配当」と偽って渡し、頃合いを見て計画倒産などで逃げるという投資詐欺)

「はじめは順調に利益が出ているように見えていたので、すっかり信用して友人も誘ってしまいました。ところがあるときから利益配当が止まり、最終的に元金も戻りませんでした。このような投資詐欺があることも、これをきっかけで知りました。わたしの学のなさが招いた結果です」(小山田真希さん 以下同じ)

◆詐欺で失ったもの

当時、真希さんは仮想通貨にも手を出していた。「これから上場し値上がりする」という謳い文句に誘われて買ったが、残ったのは大きな損失だけだった。

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仮想通貨と投資詐欺。真希さんはまずその2件で、貯蓄の一部である500万円を失った。高すぎる勉強代だ。

「友人や職場の人も勧誘してしまったので、人間関係も崩壊しました。職場でいたたまれなくなり、退職。自分が悪いのは重々承知していますが、手のひらをかえすような態度に人間不信になり、メンタルもボロボロです。どん底の日々を送りました」

◆次なる沼との遭遇

「老後資金は自己責任」と煽られたり、また、生活に余裕がない人がほとんどと言われる今、金融情報は多くの人の関心事だろう。しかしハイリスクが過ぎた。