・目醒めの準備に入っている人は、目を醒ますためにみずから困難を作り出し、可能性を引き出そうとする。
・光が強くなるぶん、闇もまた濃くなるからだ。それは好転反応なようなもの。困難を乗り切ることはデトックスのようなもの。光の世界に行くための変えるチャンスなのだ。
つらい出来事をポジティブに変換してくれそうな言葉がたくさん載っていた。A氏のYouTubeも見てみると、年齢不詳で柔らかな物腰の人物であった。静かに淡々と不思議な世界を語る姿が、どことなくミステリアスだ。
真希さんは、次のようにふり返る。
「2021年のタイムリミットまでに目醒めを選んだ人は天国のような人生を送り、目醒められず眠りを選んだ人は地獄のような人生を送る。そして、その選択は今後の人生において覆ることがない。となれば、自分も目醒めの世界に行きたい。それしか考えられくなっていきました」
もう二度と、苦痛を味わいたくない。今後の幸せを、約束されたい。そうした思いが強まっていき、仕掛け人であるスピリチュアルカウンセラーA氏の世界観にどっぷり浸っていった。
その類の「目醒め」では、瞬間移動などの超能力が当たり前の世界になるとか、病気が存在しなくなるとか、宇宙人との交易がはじまるとかの夢物語もついて回るので、なかなか素直に受け取りにくいものがあるが、投資詐欺によって茫然自失となっていた真希さんは、自分にとって魅力的な部分だけに注目していたようだ。
◆焦燥感からセミナー参加
こうしたスピリチュアル情報は、気持ちのあり方を模索するための手助けとして利用するには問題ないだろう。しかし、よりよい実践のために、有料セミナーへと誘導されるのがお約束である。
真希さんも、そのルートへと流れていった。沼である。
「目醒めのために、波動を上げる必要がある」とされ、そのための技術を学ぶセミナーに参加した。
「そのスピリチュアルカウンセラーA氏が主催するセミナーに、合計数百万円使いましたね。セミナーは1日5~10万円、3カ月集中講座的なものになると30万円くらいでした。家でも毎日波動ワークなるものを実践し、いまの世界から早く抜け出したいと思っていました」