そのため、中間所得層という存在が重要となります。激戦州の場合は、52~53%くらいがラストベルト(米国北部の衰退した工業地帯)の白人たちのため、この票の取り合いになります。そこに対して、いかにSNSが効果を上げるかということが肝になってきますが、今のところは不明瞭ですね。五分五分といえるでしょう。

――アメリカに住んでいる限りは住民の住所や年齢などはインターネットで検索すれば調べることができ、選挙時期には特定の政党から積極的に投票を呼びかける電話や郵送物が多く届きます。選挙コンサルティング会社はその人物がどの政党を支持しているのかを理解したうえで、DM(ダイレクトメール)作戦をしていますが、これはどれほど効果を発揮するのでしょうか?

川上 そのような草の根選挙活動はかなり重要だと思います。繰り返しになりますが、激戦州の7州の1%がどちらに入るかで今回の勝敗は決まります。そこで効力を発揮するのは、メディアの報道よりも草の根の選挙なのです。投票日の前日まで一軒一軒回って、「投票してほしい」と頼み込むのです。

 4年前、民主党員である私の友人は「今回は民主党が絶対に勝つ」といって、このような選挙活動をやっていたのですよ。わざわざ、投票場まで連れて行ってあげてね。それが実を結び、前回はバイデン氏が当選したため、今回は共和党も草の根選挙活動に力を入れているでしょう。

――ちなみに、4年前のヒラリー氏同様、テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュなど、「海外セレブ」の多くはハリス氏を支持しています。こうした著名人の応援はどれほど選挙に影響するのでしょうか?

川上 いくら、著名人がハリス氏の支持を表明したところで、彼女の支持者はトランプ氏のそれとは大きく異なります。つまり、同じところに杭を打ち込んでいる感じですよね。そのため、トランプ氏の支持者たちが、著名人に感化されてハリス氏に乗り換えるとは到底思えず、その効果は一切ないと思います。