――残り3カ月で新たな候補を立てていると、それだけでも準備がかかってしまいます。しかも、これまで広報活動などで使ってきた資金が無駄になりますからね。
川上 2つ目は年齢ですね。ハリス氏はまだ59歳(10月20日で60歳)。トランプ氏は78歳で、彼は今まで81歳のバイデン氏を「おじいちゃん」と批判していましたが、彼女にはそれが一切通用しません。そして、なによりも若いだけあって明るいですね。彼女の母親はインド系で、カマラという名前はサンスクリット語で「蓮の女性」を意味します。リベラルの人たちはこういうのが好きですよね(笑)。おまけに音楽にも造詣が深い。そのような理由もあって、人気が出たのでしょう。
――急なすげ替えで「これはトランプ氏が優勢か?」と思われましたが、蓋を開けてみれば民主党が一歩リードしているという報道が多く見られます。
ただ、これはトランプ氏が大統領に当選した2016年の選挙を彷彿させます。当時、民主党のヒラリー・クリントン氏が優勢とメディアでは大々的に報じられていましたが、結果は「隠れトランプ支持者」たちの力もあってトランプ氏が勝利しました。
川上 今回も同じような構図だと思います。そして、この選挙を左右するのはアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンという、両者の差が1ポイント未満となっている7つの「激戦州」です。
――いわゆる、テキサス州など南部は伝統的に共和党支持者が多く、西海岸のカリフォルニア州などは民主党の牙城となっています。すでに両党には「勝ち確」の州がある一方で、この7州はどちらに転ぶかがわかりません。
川上 トランプ氏にはアメリカ国民の40%という強固な支持者が付いています。ハリス氏はまだ読めないのですが、バイデン氏に付いていた黒人女性票の95%が多分付くでしょう。あとは、黒人男性がどれほどトランプに流れるかということですが、お互いに岩盤票はあります。