――やはり、ビジネスマンだった頃の手腕に、今も自信があるのでしょうね。
川上 ただ、やっていることと言うことが派手なため、悪目立ちしているのは確かですよね。昔ながらのいわゆる「棍棒外交(自国の武力を背景にして他国に要求を飲ませる外交方針)」で、戦争を止めようとしています。
――大統領だったのに女性スキャンダルで有罪の評決が下るなど、嘘みたいなこともありますが、それでも政策は手堅く考え、感覚は研ぎ澄まされているのでしょう。
川上 そう、トランプ氏の感覚は非常に鋭い。2020年の大統領選挙で彼は「バイデンが大統領になったら、彼は戦争を始める!」と言い放ったのですが、「さすがだな」と思いました。というのも、実際にバイデン氏はロシアを引き込むために、ウクライナ侵攻を許してしまいました。パレスチナ・イスラエル戦争のベンヤミン・ネタニヤフ首相のケースは少し複雑ですが、結局アメリカはイスラエルを応援しています。そのため、あのときのトランプ氏の発言は正しかったのです。
――「トランプ氏が大統領になったら、戦争の危機が……」と懸念されていますが、実は彼自身が戦争を引き起こしたことはないのですね。その辺を日本のメディアは報道せずに、ハリス氏を持ち上げています。
川上 日本はアメリカ追随であり、バイデン政権の傘下にありました。そのため、民主党に批判的な発言をする者は、政界でもテレビのコメンテーターでも弾かれたのです。そのバイデン政権も終わりを迎えつつありますが、その後任にはハリス氏が控えています。そうなると、引き続き日本は、民主党政権の傘下に入るため「ハリス氏が勝つだろう」という主張が通るわけです。
しかし、先の自民党総裁戦で石破茂氏が総裁、そして第102代内閣総理大臣になり、自民党も大きく変わりました。そして、仮にアメリカでトランプ氏が大統領として復活を遂げた暁には、先に述べたようにこれまでとはまったく違う日米関係が出来上がるでしょう。