それでも、NHKが旧ジャニタレの起用再開を明言したのは、紅白歌合戦の出場者を決めるギリギリの時期だったからだろう。過去最低だった昨年の雪辱を果たしたいというNHK上層部の浅はかな“欲望”が、事実を正しく見る目を狂わせたのである。

 しかし、上層部とは考えを異にし、現場で骨太のドキュメンタリーを地道につくっている人間たちもいる。

 10月20日の夜に放送されたNHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」(総合・1ch)がそれである。

「ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏。日本エンタメ界のカリスマでありながら、長年に渡り、少年たちへの性加害を続けてきた。なぜ誰も彼を止められなかったのかー。アメリカ日系人社会での知られざる来歴や、ジャニーズ草創期を知る人物の貴重な証言から、早い時期からのジャニー氏の性加害、そして姉・メリー氏がそれを“隠蔽”してきた実態が浮かび上がる。メディアも加担して築かれた“アイドル帝国”の実像とは―」

 私も少しこの中に出ているからいうわけではないが、インタビューを受けていて、彼らのジャーナリストとしての「覚悟」がひしひしと伝わってきた。NHKが丸ごと腐りかけているのではない。

 ところで、私は経営というものをやったことがないため(市民メディアの『オーマイニュース』の社長はやったことがあるが)、今のセブン&アイがカナダのコンビニ大手の「アリマンタシオン・クシュタール」による買収の危機に遭っているという報道が、どうしても合点がいかないのだ。

 当初、はるかに安い提案をしてきたのに、セブン&アイ側が難色を示しているので、7兆円という買い取り額を提示してきているというのだ。

 たしかに、スーパーのイトーヨーカー堂は経営不振だろうが、セブンイレブンはコンビニ最大手である。

 ましてや、アリマンタシオン・クシュタールはコンビニとはいうが、ガソリンスタンドに併設されているだけで、日本型のコンビニとは全く違う。