「『あいつらもおかしいんじゃないの』って俺たちは言われ続けるしかないと思います。というか、言われ続けなきゃだめなんだよね。そう言われるようなことを社長はやってきたんだから」
東山紀之がジャニー喜多川の性加害について、「鬼畜の所業」といったのと同じように、自分が性加害を受けたかどうかについては語らない点は同じ。だが、錦織の言葉で頷けるのは、ジャニー喜多川の犯した犯罪は重大だから、自分たちも社会から罰を受け続けるしかないというところである。
しかし、この国のメディア、特にテレビはそんな基本の基さえも忘れてしまって、禊は済んだとばかりにテレ東に始まり民放各社、NHKが旧ジャニーズ事務所のタレントたちの起用を再開した。
10月16日、NHKの稲葉延雄会長は定例会見で、「被害者への補償と再発防止の取り組みに加え、(スマイル社とスタート社の)両社の経営の分離も着実に進んでいることが確認できた」(朝日新聞10月17付)と述べたという。
しかし、補償で合意できたのは被害を申告した千人のうちのまだ半数である。それに理由も告げられずに救済しないと切り捨てられた者も多数いるといわれているが、詳細を公表していないから信用できない。
新潮によれば、折り合いがつかず調停へと移行した被害者も4人いるという。NHK関係者は、「調停がこれ以上揉めて、訴訟にまで発展したら、性加害問題に再び注目の集まる事態が予想される。そうなれば、旧ジャニーズタレントを起用したテレビ局にも騒動が飛び火しかねないことを恐れているのです」と話している。
創業者の娘・藤島ジュリー景子が関連会社からも退いたというが、新会社の株主構成は公表していない。彼女が株を持ち続けていれば利益を得られるから、「表札が変わっただけで、実際は何も変わっていない」(青山学院大学八田進二名誉教授=朝日新聞)のではないのか。とにかく、旧ジャニーズ事務所と同じで、「SMILE―UP.」には隠し事が多すぎる。