オタク出身の成功者のひとりに、ティム・バートン監督が挙げられます。子どもの頃は同世代の友達がおらず、怪奇映画のモンスターたちに感情移入して寂しさを紛らせていたそうです。日本の怪獣映画『ゴジラ』(1954年)が大好きだったことでも有名です。

 そんな少年期を過ごしたティム・バートン監督は、自伝色の強いファンタジー映画『シザーハンズ』(1990年)を成功させ、ハリウッドのヒットメーカーとなりました。10月18日(金)の『金曜ロードショー』は、ティム・バートン監督の代表作のひとつとなっている『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)を放映します。

 ティム・バートン監督の盟友ジョニー・デップが変わり者の帽子屋「マッドハッター」を演じ、世界興収は10億ドル以上、日本だけでも118億円という大ヒット作になっています。

真性のロリコンだった原作者ルイス・キャロル

 真性のロリコンだったルイス・キャロルの幻想小説『不思議の国のアリス』が原作です。ミア・ワシコウスカ(撮影時19歳)がアリスを演じた『アリス・イン・ワンダーランド』は、ディズニーアニメ『ふしぎの国のアリス』(1951年)の後日談という形になっています。子どもの頃に不思議の国に行ったことのあるアリスは、そのときの記憶を「夢だった」と思い込んでいます。大人になりかけているアリスは、再び変人だらけの異世界を訪れることになります。

 現実の大人の世界にはいろんなルールがあり、冒険好きなアリスは窮屈に感じられて仕方ありません。ダンスパーティに出席したアリスは、まるで気が合いそうにない大金持ちのボンボンから結婚を申し込まれてしまいます。『不思議の国のアリス』が執筆された19世紀の英国では、お金持ちの家に嫁ぐことが女性のいちばんの幸せだと信じられていました。常識に縛られるのはまっぴらごめんなアリスは、パーティー会場に現れた白ウサギを追いかけてその場から逃げ出してしまいます。