しかし遊女たちの前で男性が上衣を脱げば、その後はご想像どおりで、同行していた藤原実資(秋山竜次さん)が憤慨し、当日の様子を伝え聞いた三条天皇が「極めて不善のことなり(原文は和製漢文。藤原実資『小右記』)」と不快感を示すしかない乱痴気パーティーになってしまいました。道長としては、病弱な三条天皇が遠からぬ時期に後継者の皇子をもたぬまま崩御、もしくは退位することが見えているので、故・一条天皇第一皇子の敦康親王――道長の孫である第二皇子・敦成親王のライバル――を若くして性に溺れさせ、浪費の楽しみも覚えさせて潰そうと企んでいたのではないか……と思われる一幕です。
このとき、40人の遊女たちには絹200匹(疋)、米100石などの高額の礼金も別途支払われましたが、一日の稼働で、一人当たり現在の貨幣価値で数百万円ほどは稼げたのではないでしょうか。それこそ「まぶしき闇」というしかない一面が、当時の貴族社会にはありました。