当然ですが、本人にとっては必要なもの。いくら「ゴミでは?」と思っても、勝手に触っては父のペースを乱してしまいムードが険悪になるだけ。我慢して押し殺して、余計なことは言わない。
その分、父が家を不在にしている間に、さりげなくタオルを洗っておいたり、掃除機をかけたり、キッチンのぬめりを取っておいたり、周りから攻めていくのです。
◆②明らかにいらなそうなものは、クレクレ作戦
不思議なことに、何年も使っていなさそうで、埃をかぶっているようなものでも、これ捨てるよ!? という言い方をすれば、角がたつのは当たり前。
そりゃそうです。ずっと家の中にあり自分の生活の一部になっているのに、ポッと帰ってきた子どもにステルステル言われたらたまったもんじゃありません。私はそういうものは、もらっていい?と聞きます。
いいよ! と気前よく私に渡してくれるときもあれば、ちょっとこれはと言って躊躇するものの、忘れた頃にやっぱりこれあげると持ってきてくれることもあったり。
そういった作業の積み重ねで自然と不思議なことに片付いていく印象。長期戦で徐々に綺麗にしていくという気持ちが大切ですね。
とまあ偉そうに書いてみましたが、実は最初は、ものの処分や庭の扱いをめぐって父親とかなりバチバチになってしまった時期があったのも事実。
ぶつかってやり合った末に、親の「片付けのツボ」がこちらも見えてくるのです。あくまで「住まわせていただいている」私。お互いいい距離感で同居を続けるべく、「家とはこうあるべき」と言う自分だけのイメージを捨てることも大事なのかもしれません。
自分の生活空間は自分仕様にしますが、父の生活空間については口出しはしない。これが令和の同居スタイル、なんて感じています。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中