私が個人的に幸運だったと思うのは、実家が二世帯住宅だったということ。

 今は亡き祖母が長年生活空間として使っていた部屋が一画にあり、そのスペースをまるまる使わせてもらえているのは、申し訳なさと共に純粋にありがたい気持ちで一杯なのです。

 水も出るしキッチンもあるし、冷蔵庫だって使える。ありがたくてありがたくて、どれだけほっとしたことか。

◆実家の物置き部屋で不安に襲われた夜

リリーちゃん
段ボールに囲まれたたずむ愛犬・リリー
 一方で、大きな問題も……。その空間が数年にわたって開かずの部屋化した倉庫になっていたのです。これ、あるあるだと思うんですが……、実家って、荷物置き場や不用品置き場と化した謎の部屋があったりしません?

 わが家もご多分にもれず、サビサビ自転車やら巨大事務机、真っ黒焦げフライパン、そして私が小学校時代に使っていたスキー板……などが出てくる、出てくる。

 タワーのように積み重なった段ボールを端に避けて、その真ん中に布団を敷き、愛犬と身を寄せながら朝を迎えた日は、この状態から私は今後、どうなっていくんだろう……? なんて、言いしれぬ不安に襲われたものです。

 ただ、どんどん空間が整理され、人間らしい営みができるようになってくると、徐々に自分と愛犬の未来そのものにも薄日が差し込んでくるのような、そんな明るい感覚になっていくから不思議。空間が精神に及ぼす作用と言うのは大きいのですよね。

 実家整理したい! と言う強い思いを持っている方に、私の培ったちょっとしたコツをお伝えいたします。

◆①あくまでも“親ファースト”。何をおいても本人の意思!

片付けが済んだ部屋
なんとかここまで片付けができました
 当たり前のようなのですが、実はこれ、なかなかできるようでできない。同居の父は元研究者と言うこともあり、家中に洋書が山積み。減る事はなく、むしろ現在でもアメリカのアマゾンなどから大量に届き続けています。

 そして部屋中の至るところに書きかけのノートやらチラシ、レシートやら……メモ魔なので部屋中に暗号文がちらばっているのです。