私が親だったら、子どもがそんな組織に入ることは、体を張って止めただろう。時代が変わったのか? 俺が時代遅れなのか?
ここからは大谷翔平アワー。ポストシーズンでもチームを引っ張り、大谷ドジャースといってもいいほどの活躍を見せている。
まずは、大谷の同僚で、MVPトリオの1人、ムーキー・ベッツ(31)が、ニューズウィーク日本版で大谷について話しているので紹介しよう。
――大谷選手と今年初めてチームメイトと過ごして、第一印象から変わったことや新たな発見があるか。
特にないかな。普通の男だよ。僕はもともと先入観を持たないタイプなのと、自分も日々やることがいろいろあって忙しいから。他の選手について細かいことは気にしないほう。僕に分かるのは、クラブハウスやダグアウトで一緒に過ごしてるショウは本当に普通の男だということ。
野球をやる仲間の1人で、普通に家に帰るし、家族を愛しているし、僕らと同じことをする。ただ、彼にはスーパーパワーがあって、それを(フィールド)でよく見せている。
――スーパーパワーとは、大谷選手の野球は超人的だということか。
あれはスーパーパワーとしか言いようがない。動物に例えるなら、ライオンかな。ジャングルの王者のように君臨するもの。何でもできるのが彼だ。
――大谷選手がライオンだったら、自分はどんな動物だと思う?
僕は鳥になりたいね。飛び回って、ロサンゼルスの渋滞に悩まされることなく好きなところに行きたい。でも野球をやっているときはチーターになりたいかな。脚が速かったら何でもできる気がするんだ。
――宿命と言えば、最近はニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が追いかける本塁打記録と大谷選手が追う50-50のどちらのほうがすごいかという議論が熱く繰り広げられているが、ベッツ選手はどう感じている?(本記事の取材は9月上旬。現地取材時間、9月27日時点で本塁打はジャッジ58本、大谷54本)
みんなも比較するのはやめて、2人の偉大さに感謝すべきだと思うね。だんだん当たり前みたいになってしまっているけど、僕らが置かれている状況はすごいんだ。すごいことをやっている選手が2人もいる。
ジャッジが(22年に自身が達成したシーズン60本のアメリカンリーグ記録を抜く)63号打ったら、めちゃくちゃかっこいい。
ショウが50-50を達成したらめちゃめちゃかっこいい。どちらのほうがすごいとかない。2人の偉業は本当に素晴らしいものだから、いいとか悪いとか比較するよりも楽しんだほうがいい。だってどうやったら63号が50-50よりすごいと言えるんだい? 逆もしかり。全く違うじゃないか。同じなのは両方とも素晴らしい偉業で、僕は両方とも達成してほしいと願っている。
そして僕は自分の子供たちに、パパは目の前でその瞬間を見られたよって伝えたい。だから見方を変えて、それぞれができる最高を存分に発揮してもらうような空間をつくっていこう。
2人ともアメージング。どちらも、誰も超えたことのない領域に行こうとしている。その瞬間を見ることができて、どちらも友達と呼べることが幸せだよ。
――大谷選手は来年には二刀流を復活予定だ。投手に戻った場合、ドジャースにもたらす正と負の効果は何だと思うか。
負の効果は何一つないね。いいことしかない。(投手として)チームを助けることになるし、(打者として)今やっていることも引き続きやるんだから。彼が、ショウヘイ・オオタニとしての本領を発揮することになる。
――以前ベッツ選手は自分の番組で大谷選手が二刀流で復活する日を楽しみにしたほうがいいと言っていた。