親子 父 子ども 病院 診察
「例えば、子育てにおいては、妻と同じことをしているだけで、周囲からは『いいパパだね~』と褒められる。一方で、体調がすぐれない子供を病院に連れて行くと、医師や看護師から『お子さんのことは、ママにきかないとわからないですよね』と言われたりして、父親ってこういうものだよね、という固定観念が社会に根強く残っているのを感じるんです」

 ママ友と違ってパパ友が作りづらいのも、多くの男性が従来の“男らしさ”に縛られていている所以だと分析。

「妻を見ていると、子育てにおける悩みの共有というのが、親しいママ友を作る上で非常に重要なんだなと思うんです。でも、男性の多くが、自身の葛藤をさらけ出すことは 、“男らしさ”の否定や尊厳の喪失と捉えてしまっていて躊躇しがち。僕自身も子育てをしていて、いろいろとつらいことがあるのに、長いあいだそれを共有できるのは妻だけでした。

 ただ、そこを乗り越えると、父親としての景色が少し変わる気がするんです。今、僕がパパ友として楽しく話すことができるのは、家事や育児に向き合い、仕事に追われながらも、従来の父親像から脱却しようと自分なりの父親としての生き方を模索している男性ばかり。道しるべのない父親としての葛藤を正直に打ち明けあえるから、自分は一人じゃないんだなと思えるし、同じ時代に一緒に子育てをしているんだなと感じられます」

◆「中年の男性はもっと怒って良いんじゃないか」

“男らしさ”の呪縛に苦しめられた白岩氏に、今の社会はどのように映っているのでしょうか?

「Z世代より下の世代は、共働きで世帯の収入を高めることや、男性が主体的に子育てに関わるのは当たり前。男性だって弱さをさらけ出すのは恥ずかしいことでないという価値観が育ってきている世代のように思えます。対して、バブル世代より上の世代は、社会が作り上げた“男らしさ”を押し付けられて、自身のナイーブな感情を押し殺さざるを得なかった世代で、価値観が分断されています。