白鵬があれほど優勝できたのも、彼を脅かす力士がいなかったからである。これからは大の里時代が続くのだろうが、ライバルのいない相撲はつまらない。初顔合わせで大の里を破って優勝した尊富士が、次の対戦で大の里を破るか互角の勝負ができなければ、一強多弱の大相撲を延々見せられることになる。

 ところで、ポストが、力士の年収を一覧表にしている。

 年収の差は、基本給とは別に、過去の成績に基づく「力士褒賞金(持ち給金)」が場所ごとに年6回支給される。この持ち給金の違いが大きいのだという。

 私にもよくわからないので、マネーポストWEB(2023.07.27 07:00)から引用する。

「各力士は序ノ口デビューの際にまず3円の持ち給金が設定され、本場所で勝ち越した星ひとつにつき0.5円が加算される。地位による最低支給額があり、十両になると持ち給金は40円にアップし、場所ごとに4000倍された額が支給されます(持ち給金40円=支給額16万円)」(協会関係者)

 8勝7敗なら0.5円(支給額2000円)、9勝6敗なら1.5円(同6000円)といった具合に持ち給金は加算され、負け越しても減額はない。番付による最低支給額は幕内で60円(同24万円)、大関で100円(同40万円)、横綱で150円(同60万円)となる。

 他にも平幕が横綱を破る金星は10円(同4万円)、幕内優勝は30円(同12万円)、全勝優勝だと50円(同20万円)が加算され、それが関取である限りは現役を通じて毎場所、支給されるのだ。

『この給金制度が誕生したのは1899年とされます。明治に入って大相撲が実力主義に移行し、力士の意欲を高めるために導入された。上位陣の多くが勝ち越すと、下位は勝ち越しても番付がそれほど上がらなかったりするため、番付だけで収入が決まる不平等を補正する目的があるとされます』(ベテラン記者)」

 さらに金星がでかいという。

「持ち給金はちょっとした違いで大きな差が生じる。全勝優勝すると持ち給金はプラス50円に加え、『15の勝ち越し』で7.5円が加算され、合計で57.5円(同23万円)増えるが、14勝1敗の優勝だと、優勝の30円と『13の勝ち越し』の6.5円で、36.5円(同14.6万円)しか増えない。
また、平幕生活が長くても、金星が多いと有利だ。金星が史上最多の16個あった安芸乃島(現・高田川親方)の持ち給金は300円に達した。毎場所120万円の支給だから相当に大きい」(同)