ここ最近ではNewJeansが日本デビュー曲となった「Supernatural」で英語、韓国語とともに日本語をミックスしたことも話題になった。世界的な音楽業界動向としてラテン市場に続いてアジア市場のさらなる拡大が注目されるなか、日本語楽曲のポテンシャルはますます高まるとみられる。「Underground」は日本カルチャーに根差した世界観ということもあって日本語詞に振り切ったのだと思われるが、こうしたトレンドと共振しているとも指摘できるだろう。
長々とあれこれ語ってしまったが、「Underground」はそのハイブリッド感がおもしろさのキモだ。
単純に、カッコいいガールズグループが景気のいい世界観の映像のなかでクールにパラパラを決めるというシュールさのインパクトだけでも十分に強いのだが、紐解いてみると、欧米目線でウケる日本のカルチャーをただ詰め込んだのではなく、日本語詞やボカロ的要素でJ-POPに根差しつつ、現行トレンドとうまく組み合わせてスタイリッシュに昇華していることに気づく。その歌詞も、チカチカ地下地下……とフザけているようでいて、競争の激しいストレス社会から逃げ出そうというメッセージを込めたクラブ賛歌であり、「東京発の異次元ドリームグループ」というコンセプトとも噛み合う。LDH JAPANと、エグゼクティヴプロデューサー・ブラッドポップの掛け合わせが生んだ化学変化なのだ。
なお、SG5時代の「Firetruck」から、f5veの楽曲は一貫として絵文字ひと文字で表現できるタイトルになっており、SNS時代を意識したこのコンセプトも興味深い。消防車、レタス(絵文字は葉物野菜)、そして地下(絵文字は穴)。f5veの次なる一手が楽しみだ。