アメリカを活動の拠点とする彼女たちは、当初は「SG5」というグループ名で2022年に始動。翌年、カニエ・ウェストらを手がけるハドソン・モホーク、BABYMONSTERの「LIKE THAT」も手がけたカウント・バルドーがブラッドポップとともに制作に携わった「Firetruck」でデビューし、未来的なサウンドとビジュアルで注目を集めた。そして、空白期間を経て2024年、「f5ve」にリブランドされて再出発。f5veとしてのデビュー曲「Lettuce」を5月に発表したのに続けて、7月に飛び出したのが、先述の「Underground」だ。

 引き続きブラッドポップとカウント・バルドーの2人が制作の軸となっているものの、「Firetruck」はトラップ色が強かったのに対し、「Lettuce」はR&B色が押し出され、ドリーミーな世界観に。こうしたヒップホップ~R&Bをポップスに昇華した方向性で行くかと思われた矢先、「Underground」はまったく異なるアッパーなダンスサウンドとなっていて驚かされたのだが、これが実におもしろい楽曲&コンセプトになっている。

 f5ve「Underground」でもっとも印象に残るのは、ミュージックビデオに登場するデコトラと、振り付けの一部として取り入れられているパラパラダンスだろう。

 華美に飾られた「デコレーショントラック」の略称であるデコトラは、警察の取り締まり強化などにより国内では衰退の一途をたどっているが、ここ10年でその独自のカルチャーが国内外で(再)注目を集めており、米CNN放送や英ガーディアン紙など海外メディアがたびたび取り上げているほか、今年3月末に緊急来日したビヨンセがデコトラをバックに写真を撮ったことも話題に。2021年の東京パラリンピックでも、その開会式を彩ったことが記憶に新しい。

 日本独自の統一性のないカラフルさとギラギラした装飾という景観は“海外ウケ”する要素であり、それはブルーノ・マーズが最近手がけたドン・キホーテの宣伝CMからも見て取れる。デコトラはその個性的なイルミネーションが「芸術」として捉えられはじめており、写真集が発売されるなど“注目の日本カルチャー”のひとつなのだ。