◆当初の不安な気持ちは消滅。個性を受け入れて共に暮らす
「ぴのは怖がりなせいか、初めは私以外になかなか懐かず、娘にも威嚇。『助けたのは私なのに~(笑)』と嘆いていましたが、根気強くお世話をするうちに打ち解け、一緒に遊び、お昼寝するようになりました」
普通の猫より寿命が短いかもしれないし、お金もかかる……と、迎えた頃は正直、ネガティブな気持ちのほうが大きかったという飼い主さん。しかし、共に暮らす中でマイナスな感情は消え、ぴのちゃんを“普通の猫”だと感じるようになりました。
「以前は、愛猫に障害があると言葉が通じない分、大変そうだと思っていましたが、家族になってみると、その生活が普通になる。個性とはまた違うけれど、“うちのぴのはこう”という感じです」
障害への配慮は、猫の性格に応じて飼育環境を工夫するのと同じ。そう語る飼い主さんの考えに触れると、障害と世間一般では呼ばれるものを持つ猫への視線が変わるはず。
死の淵をさまよったぴのちゃんは力強い前足をフル活用し、自分らしいニャン生を切り開きました。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291