◆宮沢氷魚の“父ゆずりの瞳の輝き”
(こういう言い方は嫌だけれど)2世俳優対決としてネット上で話題になった第3話を見てみよう。
冒頭、富士山の袖に広がる田園の中、「晴見フィルハーモニー」のトランペッター森大輝(宮沢氷魚)が練習している。
まっすぐトランペットの先を見つめて、ロッシーニのオペラ『ウィリアム・テル』フィナーレの軽快なフレーズを響かせる。
この横顔、違う作品でも見た気がする。そうだ、プロ野球球団の新人スカウトを演じた『ドラフトキング』(WOWOW、2023年)の第2話、屋上場面。
望遠鏡をのぞく。夕日に照らされた表情が、役に命を吹き込んでいた。それと同じように、今度はトランペットを吹く大輝の顔に朝日が差す。そのとき、宮沢のあの琥珀色の瞳が光ることを見逃してはいけない。
あの瞳の色こそ、宮沢が父からもらった宝物に他ならない。瞳の色が父から子へ引き継がれることで、宮沢の演技は、ひときわ唯一無二のものとしてむしろ輝きが増す。
この親ゆずりの瞳の輝きにひきつけられない視聴者はたぶんいないはず。