◆肯定感の低さを埋めるためにやってきた人生

――今も自己肯定感は低いままですか?それとも何か肯定感が上がるきっかけがあったのですか?

おおたわ:そのときはもがいていたのでわからなかったけれど、肯定感の低さを埋めるための努力をいっぱい重ねてきた人生だった気がします。自己肯定感が低ければ低いほど、たくさん積み重ねないと埋まらない。「なんでそんなに自分を追い込むの」と友達に言われたことがあって。

もともとは1日ゴロゴロしていたいくらいの怠け者なんです。それでも、母のプレッシャーもあってなんだかんだ勉強してきたことで、自分に少し自信がついたり、試験に受かったり、医師免許を取って仕事をするとか、ひとつひとつ「自分は大丈夫なんだ」と証明するためにやってきたような気がしています。

おおたわさん2
なぜ本を出したりテレビに出演するのかというのも、人から認められたい想いが根底にあるのだと思います。コネクションもない、文章のプロでもない私にとっては突拍子もないチャレンジだったわけだけど、メディアに出たいという自分を駆り立てる強い想いだけがあって、やり続けてきて今に至るという感じ。

これを言うと驚かれますが、医師免許を取ってからも「頭が悪い」という劣等感は消えていません。50歳を過ぎてから総合内科専門医の試験に挑戦したのも、そんな劣等感を少しでも払拭したかったからかもしれません。

◆うつ病で半年寝たきりに。でも人は回復できる

――最近、「自己肯定感を上げる方法」的な本が多く出版されています。一方で、肯定感は子供のときに育まれるもので、大人になってから上げるのは難しいという意見もありますよね。

おおたわ:私は、肯定感は上げられると思います。人間にはレジリエンス(回復力)があると思うんです。

精神科の先生が言っていたのですが、うつ病になってから回復した人は、以前より人格がワンランクアップすることが多いと。これもレジリエンスの例ですよね。