◆食事内容を一緒に考える“チーム”になってみる
そこでご提案したいのが、“構図を変えてみる”という工夫。毎日食べていくという行為に対して、親と子どもが真剣勝負のように向き合わずに、“同じチームになってみる”というスタンスです。
「今日何食べたい? どう食べようか? どう切ろうか?」と聞く習慣をつけていくと、子どもは「ママ、こうしたらいいんじゃない? こうやったら食べられるかも!」という考える姿勢が少しずつ芽生え、子ども自身の意見やアイデアを発言するようになります。
こういう相談を続けていくことでお互いの気持ちが通うようになり、(子どもの好みはこうなのね!)となり、(ママはこういう考えなんだな!頑張ってくれているな!)という発見にもつながり、親子のミスマッチも解消していくはずです。
また、リンゴなど果物の切り方によって、甘味や酸味の感じ方が変わってくる場合もあります。
切り方や出し方に対して拒否反応がある場合は、切り方を変えてみたり、本人に希望を聞いてみてもいいでしょう。私は果物をなるべくそのままの状態で見せて、「どう切ろうか? そのまま? 皮をむく?」と質問するようにしています。
小さな子どもが好き嫌いを克服したり、食事マナーを教科書通りにマスターすること自体、難しいのは当たり前です。
私は食育の現場でさまざまなお子さんを見ていますが、最初からできるお子さんなどほとんどいません。ですから、どうか焦らず悩まなくてOK。
親の困った顔を見せる時間よりも、一緒にうれしい・おいしい時間を過ごしていくようにしましょう。楽しい食体験を重ねていくことで事態は少しずつ、確実に好転していくはずです。
【対処法まとめ】
・親が一方的に料理を作る、食事を用意するという固定概念を捨てる
・食卓は一緒に作るものだという意識・姿勢をゆっくり作っていく
・子どもの希望や好みを聞く習慣を意識する
・おいしい時間やうれしい時間を大切にする
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12