◆知っている人は、知っている
清美さん自身も、いろいろなつながりができること自体は、うれしく感じていた。
ところが当日すぐに、誘いに乗ったことを後悔した。ケースから取り出されたアロマオイルのビンを見て、すぐに気づいたからだ。
「あーーーーー。あのマルチだ」
清美さんは、利用していたSNSのX(旧Twitter)で、たびたびそのアロマオイルの画像と悪評を見かけていたからだ。一方、ほかのママ友たちはXを使用しておらず、Instagramの利用が中心だった。
Xと比べると、Instagramではその手の批判は圧倒的に少ない。
だから清美さん以外の参加者は、それが巷で何かとウワサになっているアロマ系マルチだということを知らなかったようだという。
「公民館の和室で行われたアロマクラフト体験会は、誘ってくれたママ友ともうひとり、アロマ講師と名乗る初対面の女性が進行を務めていました。あとからインスタを見ると、その女性がマルチ会社のベテラン会員でした。
横のつながりを大切にしつつ、有益な体験談を語る人を参加させようという勧誘マニュアルを後日知りましたが、まさにそのとおりに会は進められました」