◆「この人と一生、一緒に歩いてはいけない」

救急車
 昨年のコロナ禍での自粛期間。ふたりとも在宅勤務になったので、一緒に散歩に出た。すると目の前で高齢の女性がふらりと倒れたのだ。

「私はあわててかけつけたんですが、彼は立ちすくんでいる。抱き起こして近くのベンチに運ぶと、彼女は『大丈夫です、ありがとう』って。だけど顔が青いし、大丈夫そうには見えない。

 水を持っていなかったから、彼に水を買ってきてと言うと、『大丈夫って言ってるじゃん』と。

 それでも水を買ってこさせて飲ませたんですが、やはりおかしい。結局、救急車を呼びました。

 行きずりではあるけど、そのままにするわけにもいかず、私が救急車に乗って病院まで行き、救急隊が家族に連絡するまで見届けました。あとからご家族から連絡があって、脳卒中だったそうです。幸い、命に別状もなくて後遺症もなさそうだ、と。

 ほっとしましたが、彼は私がひとりで救急車に乗ったことを,『意味ないことするよね』と。確かにそうかもしれないけど、私はこの人と一生、一緒に歩いてはいけないと感じたんです」