◆「野菜なんてなくても生きていけるよ、一生必要ない」
「あるとき、今日は私が料理すると言って焼き魚、味噌汁、煮物など典型的な和食を作ったんです。私はどちらかといえばこういう食事のほうが好きなので。
そうしたら彼は食卓を見るなり口を尖らせて、『食べられるものがない』って。そこで初めて、彼はラーメン、ハンバーグ、カレーだけで暮らしていける人だと知りました。しかも野菜はじゃがいも以外、ほとんど食べられない。鶏肉もダメ、魚類はエビとカニ以外はほぼ全滅。
過去を振り返ると、そういえば彼はファミレスでいつもハンバーグ定食、ときどきエビフライみたいなオーダーだったなあと思い出して」
あげく、野菜なんてなくても生きていけるよ、一生必要ないと言った彼に、ヨシエさんはムッとした。なぜならヨシエさんの実家は野菜を主に作っている農家だから。
「野菜が嫌いなのはしかたがないかもしれないけど、生産者まで必要ないと言われたようでムカッとしたんですよね。うちの親、農家なんだけどと言ったら、『知ってるけどさ』って言うだけ。失言だとわかってない。そこに違和感を覚えました」
きっかけは単なる食べ物の好みの違いだが、それだけではすまなくなったのだ。