「さっきからお祭り、お祭り、って言うけど、違うから。お祭りじゃないんだよ」
「え。お祭りじゃないの? じゃあなんなの?」
「うーん」
いや、うーん、じゃなくて。どうも説明が難しいようです。もうらちが明かん。教えてグーグル先生! と、スマホに頼るも、全貌は見えてきません。が、いろいろとアトラクションがあることはわかりました。
「忍者屋敷とか、演劇とか、いろいろあるんだね。忍者屋敷に行きたいな」
楽しげに予定を練ろうとすると、夫が水を差します。
「いや、行く場所は決まっているから。忍者屋敷に行くかどうかわからないよ」
「決まってるって、なに?」
「団体行動が基本なの。うちらだけここに行きたいから行く、とかができないの」
「?? なんで? 普通に、『じゃ、うちらこっちに行ってきます。のちほど〜』って言えばいいじゃん。お祭りなのに、行きたいところに行けないの?」
「だから! お祭りじゃないんだって!」
「お祭りじゃなかったらなんなんだよ!」
「うーん」
もうなんなの!
こどもおぢばがえりがお祭りか否かで、一触触発状態のわが家。おやがみさま、わたしたちをたすけたもう!
そのときでした。夫がハッとひらめくのです。
「わかった。オリエンテーリングだ。オリエンテーリングだよ! そうだそうだ、それだよ!」
天理駅、JR西日本・近鉄も「おじばがえり」横断幕でお出迎え
オリエンテーリングとは、数人1組のグループで、スタートから必須ポイントを通過しつつゴールに向かう野外スポーツの一種のこと。なるほど。それならば、数人1組のグループごとに行動するのも頷けます。
こうしてお祭りではないことが納得でき、ついに当日。
関東に住むわたしたち家族は電車で、夫の実家のひとたちはマイクロバスで、天理駅前で待ち合わせ。電車が天理駅ホームにすべりこむと、ここからもう「こどもおぢばがえり」が始まっていることに気づきます。ホームに天理教のゆるキャラ(ピッキーとリボン)の旗が無数にはためいているのですから。