──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

 前回(第18回)の『光る君へ』は「岐路」というタイトル通り、さまざまな登場人物の人生の分岐点が描かれました。特に道長(柄本佑さん)と彼のきょうだいたちの運命は、明暗がはっきり分かれましたので、今回はそういう話をしたいと思います。

 ドラマの道長は、流行り病で瀕死の次兄・道兼(玉置玲央さん)ともお別れの熱いハグを交わしたりする相変わらずの「いい人」で、権力欲とは無縁なのに、わが子・一条天皇(塩野瑛久さん)の寝所にまで押し入って直訴嘆願した姉・詮子(吉田羊さん)の暗躍によって右大臣という高い地位が約束されるという描かれ方でした。