◆豊かな自然で育んだ人間味
町田啓太は、群馬県東吾妻町に生まれた。少年時代はよく吾妻川の河川敷で遊び、冬になるとそこらの山でスキーを楽しんだという。
山々をぬってこしらえられたゲレンデを颯爽と滑り抜ける。まだおぼこい雰囲気の町田が、白銀の中を華麗なパラレルターンでシャシャッと雪をかき分ける。後に残るスノーパウダーのしぶき。
それを浴びたい。もし当時の町田を目にできるなら、もうほんとうに「私をスキーに連れてって」状態の愉快さではないか。
1987年の同名映画で原田知世がゲレンデに「バキュン」したポーズみたいに町田を撃ち抜いてみたい(いや、されたい?)。ゴーグルを外せば、日差しで眩しそうにする爽やかな眉間がのぞくだろう。
ともかく快活なスポーツマンである町田は、パイロットを志し、中学から石川県の航空学校に通うことになる。その後、今度はダンスの教員を目指して日本体育大学に入学し、上京する。
一時期は「GENERATIONS from EXILE TRIBE」候補メンバーだったこともある彼が、最終的に入団するのが、「劇団EXILE」だ。今や劇団とLDH俳優部の中心人物。
赤楚衛二主演の『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京、2020年)で大ブレイク。赤楚演じる会社の同僚・安達清に密かな恋心を寄せる黒沢優一役でにじませた健気さと実直さは、豊かな自然で育んだ人間味に他ならない。
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