◆はじめは劇場公開するつもりはなかった

『東京夫婦善哉』より
――撮影を始めると、星野夫妻がドキュメンタリー映画の被写体に変わってくるわけですが、とは言え40年来の友人という事実もあります。カメラのレンズを通じてどのように見つめようと思いましたか?

馬場:弥生さんは度胸があるんです。一度OKしたら、後はいいよと。稔さんはスマートフォンでの撮影にがっかりしてはいましたが、稔さんの体力にとっては通常のカメラより圧がなかったと思います。

藤澤:撮影を開始した当初は、劇場公開作品ではなく、稔さんの生徒さんに見せる範囲で撮っていました。

――映画として公開しようと思ったきっかけは?

馬場:それがいざ撮り始めると、着地点が見えず、いくら撮っても面白くないんです。なかったんです。弥生さんの方も多少NGがあり、何より女性問題がね……。