気功家の夫婦。しかもご近所で40年来の友人。ドキュメンタリー映画の題材、被写体としてはそれだけでユニークに思えてしまう。

『東京夫婦善哉』より
『東京夫婦善哉』より (C)有限会社ビックリ・バン
 が、ドキュメントバラエティの元祖である『追跡』(日本テレビ)など、数々のドキュメンタリー番組を演出してきた製作者の眼差しは違うらしい。「最初は撮影したいとは思わなかった」と語るのは、夫婦二人三脚で製作を行ってきた藤澤勇夫監督と馬場民子プロデューサーである。

 ふたりの劇場最新作映画『東京夫婦善哉』(とうきょうめおとぜんざい)が、全国で順次公開されている。

 気功家の夫・稔さん(73歳)とスペイン語翻訳家で社会活動家の妻・弥生さん(72歳)。健康そのものだったはずの夫が癌に冒され、妻との葛藤の日々が静かに浮き上がる。夫婦生活、最後の3ヶ月を追ったカメラが捉えたものとは?

 今回は前後編インタビューを行い、前編では監督夫妻が、最終的にドキュメンタリー映画製作にいたった経緯や見どころなど、本作の秘話を聞いた。