ドラマ10『燕は戻ってこない』(NHK総合)が話題です。原作は「命は誰のものか」をテーマに第57回吉川英治文学賞と第64回毎日芸術賞をダブル受賞した桐野夏生氏の同名小説(集英社)。日本では認められていない、代理母出産という鮮烈な題材はもちろん。作中では、女たちの“欲望”がありありと描かれており目が離せません。

※以下、6月4日放送の第6話までのネタバレを含みます。

◆“代理母”になるはずが、お腹の子の父親が分からない

本作は、主人公のリキ(石橋静河)が元バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)と、その妻・悠子(内田有紀)のために“代理母”になろうとする話です。フルタイムで必死に働いても手取り14万円のリキは、不安定な生活から抜け出すため1000万円の報酬で基との子どもを出産する契約をします。

金銭的な余裕ができ貧困から脱したものの、人工授精の苦痛や命がけで出産するプレッシャーから、不安定な状態に陥るリキ。6月4日放送の第6話で、リキは3回目の人工授精を受けて双子を妊娠します。しかし、父親が誰か定かではありません。人工授精の前、リキは帰省した北海道で昔の不倫相手・日高(戸次重幸)と、東京に戻って友人・ダイキ(森崎ウィン)の両方とセックスをしたから。そして、彼女は中絶することを考えはじめます。