◆毒親じゃない親を、“嫌い”と思ってもいい

 沙夜子から「女の子らしくしなければいけない」という呪いをかけられたものの、夜々としても“愛情を持って育てられた”という自覚があったはず。また、夜々はゆくえに「多数派の『辛い』はワガママなんですかね」と吐露しており、親から虐げられていない“多数派”である自分が、家族を疎ましく思っていることに後ろめたさを覚えていたのではないか。そして何より、「親を悪く言ってはいけない」という風潮も手伝い、沙夜子に不満を持つことにかなりの躊躇(ためら)いがあったと思う。

 だからこそ、沙夜子の嫌いなところを伝えた夜々の勇気に感動した。それと同時に「好きやけど、嫌いなとこがいっぱいある」というセリフを聞き、「親に“嫌い”という感情を抱いてもいいんだ」と心が少し軽くなった。

 4人の主人公は“2人組が苦手”ということが共通している。4話では親子という2人組がメインとなったが、次はどのような2人組にスポットライトが当たるのか楽しみだ。

<文/望月悠木>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki