◆一方的に被害者という意識ではなく、冷静に見る必要がある

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』水上恒司さん
――では水上さん自身は、今このタイミングで、この映画を公開することに、どんな意義があると考えますか?

水上「歴史学者の方も言っていることですが、歴史上の戦争において、被害者と加害者がはっきりと分かれているものってほとんどないそうなんです。日本は被爆国だけれど、日本がしてきたことはあまり教育されてこなかったとも思います。僕らは戦争を知らない世代だからこそ、一方的に被害者という意識ではなく、冷静に見る必要があるんじゃないかなと。この先にまた戦争という悲劇が生まれないように。

だから、この映画をきっかけに、僕たちの世代もですが、さらに若い世代の子が、戦争ってなんだろうと、考えるきっかけになればいいなと思います。この映画に関しては日本の与えてきた暴力については描いていませんけど、百合と彰の愛の形を観たことをきっかけにして、そういった史実を知りたいと思えるようになってくれたらいいなと思っています」