◆自分の世界観を武器にしていくしかない
――ベクトルがはっきりしていたということですが、途中で悩んで立ち止まったりは。
水上「もちろん常に悩みはあります。それこそ今も。たとえば『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の演技にしても、これでいいのかな、ああかな、こうかなと永遠に考えます。でも、悩んだ芝居のままでいいのならいいんですけど、彰は悩んでいない、というか、悩んでいるかもしれないけれど、悩んでいるところを見せない青年なので、悩んでいる僕の体はいらないんだという結論を出し前に進みます。
つまり、そのときにできることを全力でやっていくしかない。それこそ自分の世界観を武器にしていくしかないんです。それで勝負して、それを評価してもらわないと、長い目で見て生き残れないと思っています」
――ちなみに、小さなころから「嫌だ」「これがしたい」といった意思表示ができたというのは、そうしやすい環境にあったのでしょうか。
水上「特に父親から“お前はどうしたいんだ”とは、よく聞かれました。あと、幼少期から、憧れる人や、周囲で評価されている人たちは、自分の意見をきちんと言える生き方をしています。その良し悪し以前に、単純に、そうできなかったら淘汰されている。野球で例えるなら、レギュラーを勝ち取るためには、技術はへたくそでもまずは声を出していかないといけない、みたいなところがあったと思います」