また、石田は将来の夢として「漫才を安く観れる世界にしたい」と語る。

「漫才が崇高なものになってて、嫌やねんな。もっと身近なもののような気がすんねん」

 そう語った石田のVTR終わりのスタジオで、ともこは冒頭のセリフをつぶやいたのだった。

 石田の語る夢に大いに賛同し、「漫才は庶民的なもの」と語るともこだったが、その漫才が「かっこよすぎる」ものになった理由として「裏側をしゃべりすぎちゃう?」と言うのだ。

 海原やすよ ともこは、今やNGK(なんばグランド花月)の大看板を背負う漫才師である。一方でNON STYLEは長年にわたって「女子中高生が選ぶ好きなお笑い芸人」といったジャンルのランキングでトップを走り続けている。ともに、コアなお笑いファン以外のライト層にリーチしながら、それぞれの世代で漫才の「大衆化」を担うコンビだ。

 その2組がまったく違うアプローチで漫才を考えているというのも、また漫才というジャンルの奥深さを感じさせるエピソードだった。

(文=新越谷ノリヲ)