◆ただただ「早く終わって」と祈るのみ

「せっかく葬儀に参列してくれたのに『足が臭い』なんて言えないし、もう耐えるしかないのですが…本葬のお経は特に長く、鼻で息をするのをこらえても、あのニオイを口から吸っていると思うと辛くなり『早く終わって!』と祈るばかりの地獄の時間でした」

もはや父への悲しみよりも、ダイレクトに直撃する異臭に気を取られてしまい、気づいたら葬儀が終わっていたのだとか。

「父のお葬式のことを思い出すたびに『あの異臭』も一緒に思い出してしまい、母とも『あのときのSさんの足のニオイはすごかったね』という笑い話になっています」

身近な人との別れは辛いけれど、いつかは訪れるもの。異臭騒ぎで気持ちが紛れて、逆にありがたかったのかもしれませんね。

<文/塩辛いか乃>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako