◆先生にドン引きされつつ、レッスン完遂!

 この時期は発表会を数か月後に控え、すでに振り付けが完成した曲を踊りこむ時期。なかなかハードな踊りをレッスン内で何回か通しで踊ります。

 リハビリを頑張ったおかげで腕もしっかり上がったのが嬉しくて、ちょっとフラフラしたけれどレッスンは無事完遂。先生に「いつ退院したんでしたっけ?」と改めて聞かれたので「3日前です」と言うと、ドン引きしていました。

 手術前に、乳がんでもフラメンコにすぐ復帰している人の話も聞いていたので、「やればできる」と思っていたし、「やってみせる」と心に誓っていたのです。退院してすぐのレッスンで普通に踊れたことは、わたしにとって有意義で達成感のあることでした。

 この話は周りのフラメンコ仲間に話しても、いまだに驚かれます。きっと経験していない人からしたら、大手術をしたのだからゆっくり休養すればいいのにと考えると思います。

 けれどわたしの場合は、できるだけ早く復帰して踊りたい気持ちが強く、それを目標にして入院中のリハビリも頑張りました。それを達成し、さらに元気になった姿をみんなに見せられたことが自信につながった気がします。

 意地と気合でレッスンに参加し、日常生活のサイクルも少しずつ戻ってきました。そうしながらも、1か月後に迫る抗がん剤治療にも備えなければいけませんでした。

<文/塩辛いか乃 監修/石田二郎(医療法人永仁会 Seeds Clinic 新宿三丁目)>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako