◆2度目の次元大介までの間

 とはいえ、玉山鉄二は常に玉山鉄二なのだ。実は根っ子の部分では何も変わってはいない。彼の渋さにエグみはないし、単なるイケオジなわけでもない。やはり今でも若々しさと表裏一体の人なのではないか。

 だからこそ、まさか二度も演じることになるとは思わなかっただろう次元大介、9年ぶりの姿は、いぶし銀ではなく、若々しさを反転させた究極の激渋とでも形容できるだろう。

 でなきゃ、どこか軽々と、ハツラツとした晴れやかさを不思議と感じるわけはない。

『次元大介』冒頭場面、夜のポーランドでチンピラと対峙し、先に銃声を鳴らす瞬間の腰つきを見ただろうか。あの反射的な銃さばきは、とてつもなく若々しい体幹によって支えられている。

 1度目の次元大介役があり、直後に『マッサン』の老齢が続き、準備は整った。2度目の次元大介までの間、自分はちょいと世間から隠れるが、それまでは辛抱してくれよな。

 そうして玉山は身を潜めるふりをしていたのではないだろうか。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu