◆最初から関係性が出来上がっていた永野芽郁と鈴木京香
――本作は藤沢もやしさんの人気コミックが原作です。代々病院を経営する御手洗家が全焼。両親が離婚し母のもとで育った村田杏子(永野芽郁)が、13年後、家政婦として御手洗家の後妻である真希子(鈴木京香)の前に現れます。キャスト全員が絶賛されていますね。
春名P「こだわったのは逆張りのキャスティングでした。視聴者が抱くパブリックイメージへのアンチテーゼです。永野さんは映画では『マイ・ブロークン・マリコ』などがありますが、普段の連続ドラマでやっている役は、こういうタイプではありませんし、京香さんも近年は朝ドラなどでいいお母さんのイメージがありました。逆張りで、きちんと役に奥行きと説得力を持たせられるキャスティングを目指しました」
――永野芽郁さんと鈴木京香さんは初共演です。
春名P「カメラテストで、おふたりが対峙した姿を初めて見ました。1話目で真希子が『もしうちのものを盗ったら容赦しないから』と言って去っていくのを、杏子が後ろから睨むというシーンだったのですが、その時点でふたりの距離感や目線、関係性はすでに出来上がっていました。圧倒されましたね。
永野さんも取材で話していましたが、鈴木さんは普段、本当に穏やかな方なんです。でも真希子という立ち位置に入るとスイッチがバシっと入って、その目ヂカラに吸い込まれるような怖さがあります。顔合わせでのリクエストだった『悪の権化になりきってください』を見事に体現してくださったなと思います」
――永野さんはどうでしたか?
春名P「杏子としてもそうですが、永野さんは、京香さんに俳優としても対峙していくわけです。それが本作の課題であったでしょうし、醍醐味だったんじゃないかと想像します。6話ラストで『お久しぶりです。御手洗杏子です』と身バレを自ら宣言するシーンがあるのですが、あの芝居をモニター越しで見た時に平川(雄一朗)監督と『この瞬間、杏子のほうが鬼になったね』と感服しました。現場にもいい意味での緊迫感がみなぎっていました」