◆伏線を全部回収しなくても、間違いなく“面白いドラマ”
とはいえ、ドラマに限らず、漫画や映画も本来は自由に楽しんで良いはずだ。「終わり良ければ総て良し」という言葉がある通り、伏線が回収されずに残ったまま最終回を迎えると、確かに物足りなさを覚えてしまう。それでも、「伏線がどう回収されたか」「考察し甲斐はあるのか」はその作品を評価する1つの指標に過ぎない。
『不適切にもほどがある!』7話では向坂キヨシ(坂元愛登)が佐高強(榎本司)の家で一緒にファミコンで遊ぼうとしている時、カセットに息を吹きかける強を見て、「それ、やんないほうが良いみたいだよ」「フーってやつ、意味ないって。Yahoo!知恵袋に書いてあった」と注意したりなど、笑みがこぼれる小ネタが相変わらずふんだんに用意されていた。時に感動的な展開になるが、毎話一貫して笑えるポイントは多く、伏線を必死に探そうとすることが野暮に思えるほどの馬鹿馬鹿しいボケも珍しくない。
仮に『不適切にもほどがある!』がとっちらかって終わったとしても、間違いなく“面白いドラマ”と言って良い。『不適切にもほどがある!』の、特に7話からは、考察ばかりではなく作品の好評、時には酷評を自由に言い合える未来になってほしいというメッセージを感じた。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki