◆最終回が決まっているからこそ

 後半にかけて徐々に調子を取り戻す江面であったが、「1話からの伏線を最終回で全部回収して、最後のピースがラストシーンでズバッとハマってエンドマーク、これしかないよ」とやはり伏線回収の呪いはまだまだ解けていない。「ゴールさえ決まれば道筋が決まるんだよ。そしたら一気に書けるんだよ」と最終回に回収される伏線をまず最初に考え、そこから逆算しなければ脚本は書けないと話す。

 しかし、市郎は「どうなるか、いつまで続くかわからないから面白いんじゃないの?」「いつか終わる、ドラマも人生も。だからそのギリギリ手前までとっちらかってて良いんじゃないかね?」「最終回が決まってないなんてさ、最高じゃん」と語気を強めた。

 現在2024年で暮らしている市郎は本来、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で、娘・純子(河合優実)と一緒に亡くなる“過去”が決まっている。仮に回収されない伏線ばかりの未来になったとしても、自身の“最終回”がわかっている市郎にとって、最終回が決まっていないことはそれだけで希望なのかもしれない。だからこそのセリフだったように感じた。