──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ
『光る君へ』、前回(第20回)の「望みの先に」は複雑な人間関係や、当時の習俗を巧みに整理して詰め込んだ意欲的な内容でしたね。一方、筆者の周辺では「大ネタ回だったのでは……」という声もあり、確かに歴史的知識がなければ、そう見えてしまう可能性もあると感じましたので、今回はドラマに描かれた「長徳の変」とその後始末を巡るあれこれをお話させていただきます。
「長徳の変」とは、長徳2年(996年)1月16日の夜、前太政大臣の故・藤原為光(阪田マサノブさん)の邸宅において、鉢合わせしてしまった花山院(本郷奏多さん)と、藤原伊周・隆家兄弟(三浦翔平さん・竜星涼さん)の間で発生した乱闘事件のことです。伊周は、為光の三女(氏名不詳。寝殿の上)と関係していたのですが、彼は三女を(出家後も色好みで知られた)花山院に寝取られたと勘違いし、牛車に乗り込もうとする花山院に矢を射掛けるという蛮行をしでかしてしまいました。
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