とまあ、現代とポストに檄を飛ばしたところで、新潮が2回に分けてやっているアラン・ドロンの“日本人事実婚妻”の後編を紹介しよう。
ドロンには3人の子どもがいる。長男・アントニー、長女・アヌーシュカ、次男・アラン=ファビアンである。
だが、特にアントニーと彼女、ヒロミとはうまくいってなかったという。
「彼は“自分こそが父親の後継者”との自負が強く、以前からヒロミとは折り合いが悪かった。不仲のきっかけは5年前にドロンが病気で倒れたことで、以来、両者の関係は冷え込んでいったとみられている」(地元紙記者)
病に倒れた後、アラン・ドロンの身の回りの世話を献身的にしていたヒロミだった。
だが、次男のファビアンがドロンの愛犬を返したいから取りに来てほしいというメッセージを父親に送り、ヒロミが彼の家に行くと誰もいなかった。
嫌な予感がして、ドロンと暮らしているドゥシーへ戻ると、敷地の入り口にはクサリが巻き付けてあり、ガードマンもいて、彼女を家に入れなかった。
彼女が門の外に運び出される光景は、ドロンの子どもたちの誰かがメディアに通報していたらしく、カメラマンたちがその姿を撮って報じたという。
そして子どもたちから、「父親虐待、窃盗」などで訴えられるのである。もちろん、子どもたちは彼女のことを「父親の妻」などとは認めていなかった。
彼女ほうからも告訴をして訴訟合戦になったが、今年1月4日、検察は「ヒロミを不起訴にする」という発表をしたのだ。
ドロンの資産総額は100億円とも400億円ともいわれるそうだ。それを巡る相続争いにヒロミも巻き込まれたというのが真相のようだ。
そうした子供たちの争いに絶望したのか、ドロンの健康状態は悪化し、ほぼベッドで寝たきりの様である。
今年の3月24日、ヒロミの誕生日にドロンから電話があったという。彼女はこう話す。
「懸命に声をふり絞るように“僕は独りぼっちなんだよ”と訴えるんです。そして何度も“会いたい、会いたい”と言ってくれました」
しかし、未だに会えていないようである。
「私はアランと一緒に生きたいと思っただけ。結婚やPACS(性別を問わず共同生活を営むカップルが結ぶ民事契約。裁判所が“内縁関係”に法的なお墨付きを与えるフランス特有の制度=筆者注)を求めたのは、アランとともに生きた証との意味合いもありました。17年間、彼の望んだ通りに仕事を辞めていました。家族、友人、若い頃の夢もすべて犠牲にして、ただ彼が健康で、そして幸せでいられるよう愛し続けただけなんですけどね」
彼女はそう最後に話したという。
世界的俳優と日本人女性の愛の日々は、相続が少しでも減ると恐れた子供たちによって壊されてしまったのだろうか。
彼女は、アラン・ドロンという俳優の私生活のすべてを見て、聞いてきたわけだから、それを本の形で残すことで、自分の人生を振り返り、ドロンとの愛をもう一度蘇らせることができるはずだ。
アラン・ドロンでも老いる。そんな彼の日常を知りたいと思うのは、私だけではないはずだ。