◆“変化に対応し、生き抜く子どもたち”を育めているか

いまの子どもたちは数十年後に社会を担う人たち。そして子どもたちにとって学校とは小さな社会。学校で、多感な時期にさまざまな人とコミュニケーションをとって、トラブルも経験しながら成長し、大人になって社会に出ていく。学校はその準備期間と捉えると、その大事な準備期間がすっぽり抜け落ちた状態で社会に出ていくことになります。

ランドセルを背負った小学生 子ども 小学校
2020年度から順次改訂されている学習指導要領の目的は「社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育む」とあります。ですが、行き過ぎた感染症対策で子どもたちに不自由を押し付けてしまった大人たちの行動は、“変化に対応し、生き抜く子どもたち”を育むどころか、“自分の頭で考えずに、上の指示にただ従うこと”を見本のように示してしまったのではないでしょうか。制限の中でも工夫する姿を示すことができていたでしょうか。

今から3年間を取り戻すことはできません。ですが、政府や自治体の方針を受けたうえで、本当にそれが子どもたちに最善の策だったのか、「子どもたちのため」と言いながら、大人の保身になっていなかったのか、コロナ禍の対応について、改めて省みる必要があるでしょう。そして改めて、子どもの見本となる大人たちが「自分の頭で考えて行動する」ことが何よりも大事なことであると考えます。

―シリーズ「令和の親・令和の子」―

<取材・文/塩辛いか乃>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako