◆黙って給食を食べ、友達とも喋らない日々

「緊急事態宣言が出て休校になった時期は、世界的にも未知のウイルスにパニックになっていたので、一時的な休校は仕方がなかったかと思います。ですがその後、学校生活が始まってからは、疑問に思うことだらけでした」

登校時は“密”を避けるため分散登校。登下校中も人との間隔をあけて、友達との会話は自粛。教室の机と机の間には、アクリル板のパーテーションをつけ、先生はフェイスシールドを装着し、息苦しそうに授業をしていました。この3年間は全国のほとんどの学校で、同じような対策が取られていたはずです。

美術の授業
会食での感染が取りざたされたため、学校でも食事中は特に厳しく会話が制限されました。黙って給食を食べる「黙食」が励行(れいこう)され、できるだけ友達と会話をしないように過ごすように指導されていました。

そんな姿を見て和田さんは、抱えていた疑問が大きく膨らむのを感じたといいます。

「学校は勉強を教えてくれる場所でもありますが、子どもたちにとっては『友達との関わりの中からたくさんのことを学ぶ』という大事な役割もあると思います。先生方も思うところはあったでしょうし、国の方針に従うしかなかったと思いますが、人とのかかわりを絶たれてしまった学校という場所は、授業だけを提供する、面白みのない場所になってしまったように思いました」