◆両親は病気、兄は引きこもり。親戚を頼るのも限界に

――知恵を絞って貧乏生活を送りながらも、高校3年生のときに生活保護の受給が決まって“ホッとした”と描かれていました。90年代当時は、現在よりも生活保護に対する偏見が強くありましたが、制度を利用しない両親にもどかしさを感じていたのでしょうか。

五十嵐:そうですね。両親は昔からホームレスの方に批判的な意見を持っていたり、世間体を気にしていたりしたからか、なかなか踏ん切りがつかなかったのかもしれません。そうは言っても、父も母も病気のせいで生活に困難を抱えており、兄は両親との関係で心を病み引きこもりってしまっていて、私は普通の高校生。親戚にお金を借りるのも限界だったと思います。

『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』1話より
『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』1話より
子どもの私たちにとっては、身内に迷惑をかけている両親の姿を見るほうが、生活保護を受けるよりもつらかったです。なので「生活保護を申請に行く」と言ってくれたときは、心の底から安堵しましたね。私が無事に高校生活を送り、自分で選んだ道を進めたのも、生活保護のおかげです。